4月27日からスタートした相続土地国庫帰属制度について
司法書士の小野寺です。
以前の記事でご紹介した、相続土地国庫帰属制度が今年度からスタートするにあたり、手続きの流れや審査料等について、追加情報がありますので概要をお知らせ致します。
(詳細な内容は法務省から発行されているこちらのパンフレットをご確認下さい)
大まかな手続きの流れ
①申請書を作成し、提出する
②要件の審査が行われる
③承認されたら負担金を納付する
④納付した時点で所有権が国庫に帰属する
⑤国の機関が所有権の移転の登記を行う
大雑把に説明すると、このような流れになります。
審査期間だけで半年~1年かかるため、全体で1年以上かかる可能性はかなり高いものと考えられます。
申請は土地の所有者全員で行う
土地の所有者が1人であれば、その方が申請人となります。
複数人の共有土地であれば、共有者全員が申請人となる必要があります。
共有者の中に相続人でない人が居ても大丈夫
共有土地の場合、共有者全員が相続人である必要はありません。
誰か一人が「その土地を相続または遺贈で取得した、相続人である」のなら申請権限が認められます。
審査料は1万4000円、審査期間は半年以上
土地1筆あたりの審査料が1万4000円となっていて、審査の結果、不承認となっても返金はされません。
審査期間は土地によって異なりますが、当面は半年~1年程度かかる、とされています。
審査後、30日以内に負担金を納付しないと失効
審査が通って国庫帰属が認められたあと、負担金を納付すれば、納付した時点で所有権が国庫に帰属します。
なお、負担金の通知が到達したら、その翌日から30日以内に納付しないと承認が失効してしまいますので注意が必要です。
(ネット銀行や銀行ATMからでも納付することができます)
固定資産税はいつまで申請者負担になる?
承認後、負担金を納付したあと国の機関が所有権移転の登記を行い、その完了日が年内であれば、翌年の分の固定資産税を申請者が負担することはありません。
ただし、承認が12月だと登記完了が翌年になってしまう可能性があるので注意が必要です。
手続全体で半年~1年程度かかる見込みとのことですので、7~8月以降に申請される場合は、来年分の固定資産税も負担する必要があると考えておいた方が良いかもしれません。
申請書の作成は司法書士に依頼可能
司法書士は、申請代理はできませんが、書類作成の代理人となることは可能です。
司法書士等の資格者代理人が書類を作成した場合、申請書にその作成者を記載することになり、かつ、司法書士等の事務所の連絡先を任意で記載できます。
(司法書士等が間に入れるので、申請者の利便性が向上するものと思われます)
その他の細かい点についてはご相談下さい
申請が不承認となる土地の要件や、そもそも申請ができない土地の要件等の細かい部分に関しましては、パンフレットやQ&Aをご覧いただくか、若しくはご相談ください。
(物置レベルの建物が建ってても申請ができないのか、農地などでも引き取ってもらえるのか、など)
可能な限りお答えさせて頂きます。
制度開始後も、追加で情報が入ってくる可能性がありますので、申請者となる方にとって重要なものがあれば、その都度紹介していきたいと思います。